老人ホームに入居している場合の 小規模宅地の特例について

T&Aマスター(No,660)に被相続人(亡くなった方)が老人ホームに入居している場合の相続についての判例が載ってました。

結論から申しますと、

老人ホームを住所地として認める。

というものです。

すわ、小規模宅地の特例が認められない判例か!と思いましたが、よくよく読むと、どうやら管轄する税務署に関する判例だったようです。(老人ホーム入居前の住所で納税するか?老人ホームの住所で納税するか?という問題)

ちなみに、今回は実態がほぼ老人ホームに居住しているというものだった故の判断でしたので、全てのケースで住所地が老人ホームになるわけではない事にご留意ください。

老人ホームに入居している場合の小規模宅地の特例

それでは、被相続人が老人ホームに入居している場合の小規模宅地の特例の適用についておさらいしておきます。

平成25年の税制改正により、一定の要件が満たされれば、被相続人が老人ホームに入居する直前に住んでいた宅地について、小規模宅地の特例が適用できる「被相続人の居住の用に供されていた宅地等」に該当することになりました。(平成26年1月1日以後発生する相続から適用)

要件

①被相続人が、相続開始の直前において介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたこと。

②被相続人が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等に入居又は入所してること。

③被相続人の老人ホーム入居後に、住んでいた家を事業の用に供していないこと、および、生計を一にしていた親族以外の者の居住の用に供していないこと。

こちらの要件を満たした場合、被相続人が老人ホーム入居直前に住んでいた家は、小規模宅地の特例の要件となる「被相続人の居住の用に供されていた宅地等」になります。

注意する点は、小規模宅地の特例の要件の一部を満たしているだけであり、全てのケースについて小規模宅地の特例が適用できるとは限らない点です。

では、ケースによって小規模宅地の特例が適用できるか見ていきましょう。

Ⅰ.相続発生時点(被相続人がお亡くなりになった日)時点で誰か住んでいる場合

①生計を一にする親族が住んでいる場合

→配偶者、生計を一にする親族が相続する場合は適用アリ

②生計を別にする親族が住んでいる場合

a.老人ホームに入居する前から同居している場合

→配偶者、生計を別にする親族が相続する場合は適用アリ

b.老人ホームに入居した後に転居して住んでいる場合

→要件③を満たさない為、適用ナシ

③賃貸に出している場合

→要件③を満たさない為、適用ナシ但し貸付事業用宅地として特例を受けることが可能

Ⅱ.相続発生時点で誰も住んでいない場合

→配偶者、家なき子(違う機会に説明します)が相続する場合は適用アリ

以上を見ても、かなり複雑です。

一般の方にとっては「住所地」も「居住の用に供されていた宅地」もどっちも一緒だろと思うかもしれませんが、税務の世界ではまったく別物になってしまいます。

しかし、小規模宅地の特例の特例は相続対策として最も効果のある対策の1つです。

確実の適用できるためには様々な要件をクリアすることが重要ですので、是非とも専門家にご相談ください。

 

 

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スズキからみる税務調査

軽自動車で有名な大手自動車メーカー「スズキ」が税務調査の結果、12億円の申告漏れがあったと報道されました。(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160913-00050001-yom-soci)

申告漏れと所得隠しの違い

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、上記の記事の中では「申告漏れ」が12億円、「所得隠し」が3億円とあります。これはどう違うのでしょうか。

・所得隠し・・・会社が故意に所得を減らしたと税務署が判断したもの。悪質なので、通常のペナルティの他に「重加算税」という特別なペナルティが課せられる。

・申告漏れ・・・会社の故意ではなく、国税庁との見解の相違により、所得計算が違っていると判断を受けたものと、上記所得隠しの分を含めたもの。

マスコミの記事では両者を混同している記事もありますが、今回の記事はきちんと使い分けていると言えます。

たまに、全てを「所得隠し」と報道されてしまう場合がありますが、これだとスズキが可哀想です。

今回のケースの性質の違い

記事を元に掘り下げてみますと、今回は2点の論点があったと言えます。

1.在庫の計上隠し

2.研究開発費の処理について

1.在庫の計上隠しについて

まず、1の在庫の計上隠しですが、こちらは、在庫を計上しないことで、原価をかさ増しし、所得を減らすことです。税金を減らす為によく行われる粉飾の一種です。

国税庁はこれを悪質とみなしましたが、まぁこれは当然だと思われます。というのも、スズキは世界的なメーカーであり、在庫の計上なんてものは当たり前にやるべきことをそもそも知っているからです。

当然国税庁側は故意にやったとみなします。これに対してスズキが故意じゃなかったと言っても裁判にもならないでしょう。

ここで疑問が残るかもしれません、スズキ程の大会社であれば、監査法人が入ってきちんと会計監査をやっているのに、なぜこの様な事がおこるのか?監査で発見できなかったのか?というものです。

これにはスズキが大会社である故の結果だと思います。

スズキの決算書によれば、連結の純利益は約1,100億円です。そのうち在庫の計上漏れは3億、純利益の0.3%にも満たない水準です。

監査は重要性の高い取引についてチェックするものですので、今回の在庫計上漏れは重要性の低いという判断のもと例え気づいていたとしても修正しなかった可能性があります。

今回のケースで監査法人の責任を追及するのは監査法人にとっても酷でしょう。

2.研究開発費の処理について

次に、2の研究開発費の処理についてですが、こちらは完全に見解の相違によるもの、つまり故意じゃなかったと言えると思います。

というのも、研究開発費の処理については会計と税務でほぼ正反対の処理をするからです。

簡単に言うと

「会計」の場合・・・将来の収益獲得が確実なものだけ資産に計上

「税務」の場合・・・将来の収益獲得が確実かわからないものは資産に計上

という事になります。

研究開発費というのは、文字とおり研究や開発するのにかかった費用ですが、その研究や開発の結果必ずしも売上に繋がるとは限りません。つまり、会社は売上に繋がるかどうかわからないお金を支払っているということになります。これについて会計と税務で取扱が違っているのです。(特に外部委託している研究開発費については会計上費用処理しなければなりません。(実務指針3項参照))

会計と税務の違いのキーとなるのが、「将来の収益獲得が確実か否か」という判断するのが非常に難しい点ですので、その判断について国税庁と見解が別れたのだと思います。

さいごに

所得隠しは別として、税務調査が入った場合、見解の相違というものはままあるものです。会計と税務の相違や、税務で規定されてない取引などが原因です。

研究開発費の解釈の違いというものについてもよく挙がる論点ですので、なんとも思いませんが、常々このような報道があると疑問に思うのは

なぜ、マスコミに報道されるのか?

です。

今回億を超える申告漏れということと、スズキという有名な会社で起こったもの、というのが理由でしょうが、裁判で争ったりしているわけでもなく、修正申告に応じて納付しているのに、この仕打は可哀想だなと思う次第です。

国税庁のリークだとすると、守秘義務はどうなっているんでしょうかね。

 

上場株式の相続税評価が90%に?

寝不足が続いたオリンピックも終わり、学生の夏休みも終わり、今年の夏も終わろうとしている今日このごろ如何お過ごしでしょうか。

さて、金融庁が平成29年度税制改正要望を発表しました。

大きく3点です。

1.積立NISAの創設

2.金融商品に係る損益通算の拡大

3.上場株式の相続税評価を時価の90%に

全て投資促進のための税制改正ですが、目を引くのが ではないでしょうか。

早速、ヤフーニュースでも取り上げられてます。

現行の上場株式の相続税評価額は原則的に時価の100%ですが、これが90%になるという改正要望です。

金融庁は70%を要望しているそうですが、税調等の反対等もあり、妥協案として90%に落ち着いたようです。

上場株式を売却した際には譲渡益に対して、20.315%の税金が引かれ、残りが手許に残ります。また、相続発生から終了まで数ヶ月を要する為、その期間の価格変動リスクもあります。

それを考えると今回の10%の評価減は微妙なところでしょうか。

相続対策に変化?

現行制度では、現金で保有しているくらいなら、不動産に投資するというのがオーソドックスだったわけですが、これに変化が出てくるかもしれません。

不動産はすぐ買えるわけでもありませんし、管理も面倒になります。その点、上場株式であればいつでも買えますし、売却も簡単で、管理もほとんど要りません。

相続直前の駆け込みの対策としては一つの手段になるでしょう。

ただ、相続発生後にリーマン・ショックの様な暴落が発生し、遺産分割終了後に売却したら手許に殆ど残らなかった。そのせいで相続税の納付ができなかった。という事案も発生してくるかと思います。

やはり、相続については、分割、納税を見据えた前もっての対策が必要になります。

 

 

岩手銀行様と経営相談会を実施致します。

株式会社 J-TAPアドバイザリー(弊社グループ)が平成28年8月24日~26日にかけて岩手銀行様において経営相談会を実施致します。

(参考URL:https://www.iwatebank.co.jp/announce/news/2016/08/20160803_management-consultation.pdf

金融機関様主催の経営相談会という事で身が引き締まる思いと共に、様々な経営者の方にお会いするのが楽しみです。

弊社グループの経営理念はお客様と地域社会とにwin-winの関係を築くことですが、このような経営相談会はそのような関係を築くチャンスだと思います。

お客様のニーズを引き出し、適切なアドバイスをすることで、お客様の経営を健全化し、ひいてはお客様の地域の活性化に繋がるものと思ってます。

是非頑張ってきたいと思います。